【好きな詩】暗誦のススメ

正月の三が日、ひどい風邪をひいて伏してました。
一日中寝ていてすることもないので
10代のころ好きだった中原中也の詩を思い出せる限り、
頭の中で暗誦して楽しんでいました。
傍から見ると熱にうなされてる人でしかないのですが、
傍から見る人もいないので。(寂しい)。



詩を味わうのに、ぼくは暗誦ほどいいものはないと思っています。
憶えてしまうことで自分のものにできる部分がかなりあります。
今はいつでもどこでも検索すれば出てくる時代ですが、
そういったこととは別次元で憶えて頭の中に「在る」言葉は、
「使える」ことが多いのです。
逆に言えば(逆に言いますよ)、
詩の良さとは暗誦できるところにあるとすら言えます。



で、その3日間でぼくが思い出した詩をひとつ紹介します。
正直、中原中也よりも宮澤賢治が好きなのですが、
不思議と中也さんを思い起こした日でした。



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「寒い夜の自画像」 中原中也


きらびやかでもないけれど
この一本の手綱をはなさず
この陰暗の地域を過ぎる!
その志明らかなれば
冬の夜を我は嘆かず
人々の憔懆のみの愁(かな)しみや
憧れに引廻される女等の鼻唄を
わが瑣細なる罰と感じ
そが、わが皮膚を刺すにまかす。


蹌踉(よろ)めくままに靜もりを保ち、
聊(いささ)かは儀文めいた心地をもつて
われはわが怠惰を諫(いさ)める
寒月の下を往きながら。


陽氣で、坦々として、而(しか)も己を賣(う)らないことをと、
わが魂の願ふことであつた!
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引用は青空文庫よりでした。
さすがに書けるほどは覚えてません。。。
でもほんと、詩の暗誦はお勧めいたしますよー。
そんなイベントがあってもいいですよね。