【連載】バイト梅村のお仕事記録帳。第2回。

前回の掲載が好評でした、
バイトの梅村さん(仮)の連載第2回です。


前回は、梅村さんの6月の感想からでしたが
今回はすこし時間をさかのぼって、
3月に、詩人の谷郁雄さんと一緒に映画を観て、
みんなで感想を話しあう、
という「仕事」の記録です。


映画:『桐島、部活やめるってよ
場所:目黒シネマ
観劇:谷郁雄(詩人『日々はそれでも輝いて』)、
   バイト梅村
観劇後の座談会:
小山史(『上海でホストになった僕の夢のような100日間』)、
村井(ナナロク社)が参加。


ちなみに、目黒シネマはナナロク社と同じ、
品川区にあるんですよ。へへへ。
「いつも腹ペコ2本立て」で、1枚の入場券で映画を2本も
観ることができます。みなさんもぜひ。


それでは、座談会終了後の梅村さんの記録(感想)です。



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谷さんも学生だった時があった。
学生時代の話をする時、少し顔が変わったのを見て、
そんな当たり前のことを思い出す。
少し緊張がほぐれた。


谷さんと映画を観るというだけでも緊張するのに、
いきなり二人きりで本当にどうしようかと思った。
目黒シネマ特製のはんこ版・桐島人物相関図には
だいぶ救われた。


桐島相関図を見ながら、話が進む。
谷さんが通う中学の校庭には牛とぼろい家があった。
ぼろい家にはおじさんが住んでいた。
用務員さんではないらしい。
ある日、牛が道路に逃げていってしまい、
おじさんが追っかけていったなんてエピソードもある。
知らないおじさんが校内にいる風景が分からない。
想像するとおかしい。


私の母が桐島を観終わった時に「今時の学生って
分からない」と言っていたことを思い出す。
若者を切り捨てられた感じがして悲しくなったけど、
私だって全て分かるわけでもないんだった。
小山さんが「分かるけど、分からない部分もある」
と言っていた。
そう、女子だって女子グループのことは分かるけど、
分からない。誰もが感じることなのかもしれない。
映画部は多く話題に上がっていた気がする。
目立たないところにいるのに、輝いてみえる。
この映画を撮ってる今がすごく楽しいんだ、
なんて言ってみたい。言えないよなぁ。
座談会の途中、高校生活を思い出していた。
今思えば、あの時考えていたことや、
行動していたことのどれもがくだらなくて小さい。
でもなぜかたまに思い出して、支えにして過ごしている。
谷さんもそうですか?


自分とは違う世代の方たちと誰もが経験した、
ある時期のことについて話すなんて今までにしてこなかった。
両親の学生時代についてもちゃんと聞いたことがない。
こわいこわい大人がいたら顔がほぐれる瞬間を見るために
聞いてみよう。
思い出を交えながら映画の感想を伝え合うことは、
難しい言葉の映画評論を読むより充実した時間だと感じた。
そろそろ披露することも出来ない空手部時代のことは
封印しようかと思っていたけどやめた。
弱小空手部の不真面目な部員だったけど、
やってて良かったとたまに思う。今日がその日。


それにしても牛は結局つかまったんだろうか。
おじさんいつまで住み続けたのだろうか。


帰宅部、映画研究部、剣道部、空手部が集う座談会、
21時半に解散となった。



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第2回。終わり。