青年 つづき

昨日の映画のお話のつづきです。


映画『アリ地獄のような街』



私も行かせていただいた試写のあと、

渡辺さんと、

同じくバングラで活躍する日本人、

山口絵理子さんとの、

対談がありました。

(山口さんは情熱大陸などにも登場されてます)



そこで印象的だったのは、

この映画が、バングラで上映されたとき、

多くのバングラの人が、

子どもたちが食いものにされている現実を、

知らなかったということと、

映画を見て、

この現実をなんとかするべきだと、

熱く語っていたということです。



バングラに住む、ある程度の富裕層にとって、

信号に停まったときに車に物乞いなどで

集まってくる子どもたちは、

昔から見ているただの風景となっていた

ということでした。

信号にある、樹木や、信号機なんかと同じ、

昔からそこにある風景だったと。



あまりにも日常になってしまい、

もはや心を動かすこともなくなってしまう。

そこにアジア最貧国とよばれる

バングラの絶望をみるような思いもしましたが、

しかし同時に、

映画を見た多くの人たちが、

心を動かされ、子どもたちの現実をどうにかしたいと

思ったという事実に、

希望を感じました。



もしかしたらこの、

「あまりにも日常になって」いて、

その問題に気づけていないことは

日本にもゴロゴロと転がっているのかもしれません。

いや、

確実にどこかには、

転がっているのでしょう。



渡辺さんが、

バングラにわたってやっているように、

1冊の本で、

読者に「日常」を見透かす何かを

伝えることはできないものか。



出版の役割というものを、

「青年」に

考えさせられた一日でした。