谷川さんは空でなにを聞いたか。



いろいろなひとのもろもろを仕事して。

いろんなところでいろいろ話をして。

それほど疲れることもなかったのですが、

最終的に、

谷川俊太郎さんにつれていっていただいて、

阿佐ヶ谷のイラン料理を食べていました。



なんだか最近は、

詩人にご飯をたべさせてもらっている。

比喩じゃないのがすごいです。

ありがたい。

(いいのか、それで)



会社に戻ったら、

自分の机の上にトマトがひとつありました。

鉢植えで育ってたミニトマトが、

ポトッと落ちて収穫されたそうです。



そうだよな、会社の人にも、

食べさせてもらっているんだよな。

でも、ちょっとお供えものみたい。

供われてますね、おれ。



さて、ぐるっと戻って。



谷川俊太郎さんが話してくださったこと、

ご紹介します。

熱気球にのったときに、

感動したことがあるそうです。

それは、

遠くまで見渡せる風景ではなく、

(それもあるのでしょうが)




音がしないということ。




あまりの静けさに、

はるか地上の羊(牧場で乗ったので)の鳴き声が、

空まで聞こえてくるのだそうです。

空にいったって、ヘリコプターや、飛行機じゃ、

そういうわけには行きません。

飛行船も、室内で外の音は聞こえないし、

プロペラの音がけっこうするらしい。




とにかく、

地上のそんな声まで聞こえるなんて、

なんてなんてなんて、と。

感動してしまいました。




ここまで書いて思ったのですが、

もしも、これが谷川さんの嘘だったら。




それでも、心の中にはじめて生まれた、

静かな空で地上からの声を聞くイメージは、

消えることはないだろうなと思います。