【新連載】バイト梅村のお仕事記録帳(仮)6月編。

ナナロク社はいつだって3、4人。
そのうちの1人はバイトの方です。
(現在2人態勢で週4の方と週1の方です)
ナナロク社の25%はバイトの方でできている。


そういったわけで、今年の2月から
ナナロク社に週4日きている
バイトの梅村さん(仮)の連載がはじまります。
梅村さん(仮、以下略)は、都内の大学に通う4年生。
今月、内定も決まりました。おめでとう!
内定決まるまではぼくらも一緒にドキドキだったので、
ほっとひと安心です。
さあ、来年の春からは社会人だ!
それまではナナロク社で学生気分で仕事だ!
学生気分ってのは妥協なき姿勢ってことだ!
気分で仕事するんじゃねえ!



初回は、梅村さんの6月の感想からです。
毎日、日記を書いているらしいです。


=======================

 今月の日記を読み返すと興奮している日が多い。字が躍ってる。
 興奮して眠れない日も多かった気がする。そんな日は今日のことを何回も巻き戻して再
生、を繰り返す。ビデオが擦り切れそう。寝てる間にこのビデオを誰かに持って行かれそ
うで不安になってるのかな。寝返りばっかりしてる。
 製本所で一日を過ごした日はやっぱり全然眠れなかった。長くて、濃くて、同じ日のこ
となのに違う日に起きたことを自分で編集して繋いでいるような日。無事に終えられたこ
とがとても不思議。朝8時にA2番出口に集合し、その時点では3人。最終的には8人が
集い、犬と戯れていた。前日には高く積まれた本を見てこれは全然終わらないな、とこっ
そり思ったのにたくさんの人のおかげで犬の行き先がどんどん決まり、待機場所に困って
しまうぐらい。一青さんと名久井さんが犬を貼付けている所を見た。前日にも丸上プラン
ニングの方達が一生懸命犬をまとめているところを見た。製本所のおじさんが詩集を素早
く包んでいるところも後ろから見た。全ての本を持ち帰り、会社の椅子に座った時に朝8
時のことが本当に今日のことだっけ? と分からなくなって、すこしぼーっとした。見た
り見たり、見たりで私はずっと見ているだけだったような気がする。いいもの見た。興奮
して寝れないはずだよね。大量の発送も終わり、全ての犬の行き先が決まってほっとする
けど、少し寂しい。これはブリーダーの気持ちだろうか? 一番上手に貼付けることがで
きた犬も、もう会うことはない。でもどこかにいるんだもんね。犬、元気に育って下さい。
 憧れの場所にも行った。私、糸井重里事務所へ潜入したんですよ。写真を届けるという
おつかい。行くことが決まった時は水道橋で「おぉ…」と呟いた。毎日チェックしている
ほぼ日なのでそれはそれは大事件です。木。オートロックの扉。ごりらが出迎える。廊下
を通って会議室へ。どせいさん魔女の宅急便がいる。待機。お茶を出していただく。原
因不明の汗を大量にかく。早く帰りたいよと時計を何度も見る。大高さんが現れる。写真
を渡す。少し会話があったけど何を話したか覚えてない。では、と席を立つ。お見送り。
という流れだった気がする。興奮気味なのがばれないように、4時半前に会社に戻ること
を使命とし、謎に表参道をダッシュした。あー、そうなのか。行ったのかー。夢かもしれ
ない。やっぱりこの日も眠れなかった。
 大きな出来事がたくさんありすぎて日々の出来事が埋もれてしまうけど、長時間、何日
かに渡って電話営業をしたのは今月が初めてだったと思い出す。初めて電話営業をした時
は、とりあえずこの時間が終わって、と思いながらの電話だった。ひとつ終わり、でもま
た次があり、次の書店の番号を押すのが嫌で、途中で受話器を置いたり…。というのは今
も変わっていないような気がするけれど、少し違う気持ちが出てきた。一件も注文が取れ
ない日もあり、もやもやした。誰かのもとに本が届くのは遠いのだと改めて感じる。せっ
かくかっこいい本があるのに、伝えられないのはもったいない。そんな時、鈴木さんから
の点滴ポールのあとがきの「ナナロク社スタッフの皆さん」には私も含まれているという
言葉が嬉しかった。そうであるなら、もう少し貢献できたらいいのに。でも嫌だな、の先
に違う気持ちが出てきてよかった。たった数ヶ月のことで気持ちって変わるんだなと自分
のことなのに他人のことみたいに感心してみた。
 今月に起きた全てのことを思い出して、もうあの人とも会えないんだろうな、もうあの
場所に行くことがないんだろうな。と悲しんでみたりもしたけど、何があるか分かんない
しなぁ。今月の最後にはもう行くこともないのかな、と思っていた小高製本所へ再び行く
ことができた。詩集を一生懸命包んでくれたおじさんが覚えてくださっていて嬉しかった。
もう会えないかもしれないし、また会えるかもしれない。元気でやっていれば何かありそ
う。
 田園調布で石原まこちんさん、水道橋の写真弘社、名久井さんへの訪問。深田洋介さ
ん、リブロの辻山さん。あたらしい本の誕生を2回も見た。パネル展の設営を見る。すい
かも食べた。…駄目だ、色々ありすぎた! もう書けない!!
 キャパオーバーだなと思うこともあったけど、でもなんとか終わるもので、6月も終わ
りました。早い! と、振り返っていたらまた興奮してきて眠れなくなりました。
 6月のビデオは大事に持っておきたい。寝ている間に勝手に持っていかれませんように。




続く。この連載は、不定期です。