ナナロク社の指針。

2008年の春、借金しかないくせに、
印刷費を3年待ってもらう約束で作った本3000部から、
ナナロク社がはじまりました。
二人ではじめたので、
お互いのマンションを解約したお金で事務所を新たに借り、
ひとりは実家から、ひとりは事務所に住んで、
打ち合わせしたり、ネギで殴られたりしながらの日々でした。


そういったこともあり、あんまり浮世離れしていることを
言っていると心配されるのでかくしていたのですが、
よく会社の指針をきかれるのでここに紹介します。


「好きなものを好きに作って好きな人に好きになってもらう」。


自分で書いていても心配になります。
よくもまあこれだけで5年間生きてこれたものです。
運だけでこれました。


でも、「好き」ってことはバカにされたり、
なんといいますか軽視されがちですが、
ここには海より深い想いや決意や考えがあるのです。
(遠浅の海ですが)。


本を作るときは、まだ会っていないけどきっとこの本を
一緒に好きになってくれる人がいると信じてます。
僕らが作者とデザイナーと出版社に本屋さんとで、
魂こめて一冊の本を作り届けるのは、
そんな「好きな人たち」と本を通して出会うため、
かもしれませんね。




さてさて、
ここから先のことは、どうにもうまく、
書けそうにもないのですが、
ちょっと今日は書いてみます。


ナナロク社の本はよくこだわっていると言って
もらえます。
でもそれが「本を好きな人のためだけの本」、
のように映っていたら、
僕は失敗だと思っています。
大切にこだわりぬいて作りますが、
嗜好品になりたくない。
日常品でありたい。
愛情こもる特別な一冊を、
大量消費の消耗品のように作りたいのです。
(限定品がどうかとか、
そういったこととは別のこととしてですが、
……、うまく書けません)


なんといったらいいのか、
僕らは本に偉ぶらせたくないのです。
めずのは、
「とっても普通で誰かにとっては特別な本」です。
実際、そんな本はこれまでもゴロゴロありました。
そうなんです、そんなどこにでもあるいい本に、
ナナロク社の本たちにはなっていってほしい。



う〜ん、、、なんかぐだぐだ書いちゃったな。
やはりこのへんにします。
お口直しに、詩人の谷川俊太郎さんのかっこいい言葉を
ご紹介しておわります。


あるイベントで「今まで影響を受けた本はなんですか?」
との質問に谷川さんはこう答えていました。


「ぼくは本よりもね、
 毎日見ている雲のほうにより影響を受けています」。


マジかっこいいです。