ノリスケおじさん。

今日、御徒町さんとの打ち合わせの帰りに
思い出したことがある。


小さいころにはじめて意識してあこがれた職業は、
サザエさん」にでてくる、ノリスケおじさんのそれだった。
(ハーイでおなじみのイクラちゃんのお父さん)


ノリスケおじさんは、出版社勤務で、
磯野家の隣家に住む、いささか先生の担当編集者だった。
原稿受け取りついでに磯野家によってはやすんでいくさまを、
日曜夕方、ご飯をはむはむ食べながらじっと見ていたものだ。


おじさんのなんともいえない軽やかさもあって、
とにかく原稿をもらいにいくだけ(にみえた)なんて
世の中に、こんな気楽で楽しそうな仕事はないなと、
漠然とあこがれていた。


しかし、だ。
いくら漫画の中とはいえ、作者の長谷川町子先生ほどの大先生なら、
実際に多くの有能な編集者とのやりとりをしていたはず。
戯画化しているノリスケおじさんの中にも、
その編集者たちのエッセンスも入っているはずだ。


そう考えてみると、あののんきな顔も、
ある種の達観の末のようにも見えなくはない。


そして、まさに今。
僕は、ノリスケおじさんと同じ類の仕事をしている。
はたして自分が、
あの頃あこがれていたような、
あんな軽やかに生きているだろうか、
あんないい顔ができているだろうかと、
自問せずにはいられない。


小さなことやつまらないことで、
すぐに深刻な顔になったりしちゃう僕なんかは、
とうてい、
おじさんの、いやノリスケ先輩の足元にも及ばない。


御徒町さんとわかれて、次の打ち合わせに向かう間、
そんなことを考えていると、
原稿をつかんだ右手に、ぐっと力がはいった。


ノリスケ先輩、みていてください。
僕はやりますよ。 


すっかりノリスケ先輩に魅了された僕は、
足どりも早く、ついた先のカフェでノートPCを開く。
おじさんのことをもっと知りたくて、
ウキペディアをのぞくために。
ものすごい量のエピソード。
どれも先輩の人柄を思わせるものばかりだ。


サザエさんやカツオのいとこで、
年齢は、25、6歳か。


…。


ん?20代?なかば?


……おい、めちゃくちゃ年下じゃないか!


へらへらした顔しやがって!! あの野郎!!


そういったわけで、今後も、ノリスケには、
一切、負けないようにがんばろうと思いますので、
応援よろしくお願いします。



PS.
誤解のないようにしたいのですが、
自分より若い方で、尊敬している人はたくさんいますよ!
ただ、ノリスケくんには負けたくないすね。
まあ、負ける気もしませんけどね!